産業化したランサムウェア

高齢者が被害を受けることが多い特殊詐欺(通称振込め詐欺)は、分業化されてそれぞれ専門家がいるという完全に悪のお仕事の定番になりましたが、それに近い状況になりつつあるのがランサムウェアによる犯罪です。

最近の大きな事件としては、株式会社ニップンが保有するデータが暗号化されてしまい、2021年4 〜6月期決算発表ができないという事態に陥ったということがありました。当然ですが、財務業務を長期間正常化することができず、2021年11月15日に発表する予定であった2021年7 〜9月期決算も2022年1月31日まで遅れることになっています。

https://www.nippn.co.jp/topics/detail/__icsFiles/afieldfile/2021/11/12/20211112-3.pdf

 

また、NEXCO東日本の業務を請け負った設計コンサル会社がランサムウェアの被害を受け、データが暗号化されてしまったことで圏央道の工事に大きな遅延が発生することになりました。7億5000万円位の被害額になるようです。犯人からしてみたら、それなら1億円くらい身代金取れそうと思うのは当然かも知れません。

https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2109/17/news149.html

 

世界的に有名な悪の組織にLockBit2.0というのがあります。この組織は自分たちのランサムウェアがどれくらい優れているかアピールして手下を増やしているようです。すごい話ですね。全世界の企業が相手ですからね。特殊詐欺とは比較にならない市場規模でしょう。

https://blog.trendmicro.co.jp/archives/28572 

 

ロシアでは、Contiというグループのマニュアルが内輪もめの結果として流出したのですが、ベストプラクティス的なものを作って、攻撃の質を高いレベルで均等化しようとしていたようです。もはや、社会的なのか反社会的なのかわかりませんね。

 

被害にあった場合に身代金を支払うかどうかは企業に委ねられるわけですが、やはり犯罪者にお金を支払うのは違和感ありますね。そもそもお金をもらっても犯罪者が毎回律義に解決してくれとは限らないですからね。とにかく被害に合わないように気を付けましょう。ランサムウェアへの対策は通常のマルウェア対策と変わることはありません。最新の手口に関する情報収集を怠らないようにしましょう。

 

コラム一覧へ