雇用調整助成金オンライン受付システムの不具合について

コロナ対策で様々な中小企業支援政策が実施されていますが、中でも多くの企業で大きな恩恵を受けられそうなものに雇用調整助成金があります。大雑把に説明すると、休業中の従業員の給与を補償してくれるという制度ですが、この助成金の申請は特設サイトからオンラインで行うことができます。ただ、申請の内容が難解だとか正常に受付されたのかどうかわからないとか受付されてもいつ助成金が振り込まれるかわからないとか、事業者にとっては怖いところも多いようです。

さて、雇用調整助成金オンライン受付システムで大きな不具合が発生したとして大きく報道されました。最初のトラブルは、システムの停止です。令和2年5月20日からしばらくの間、システムの不具合により運用を停止していました。その後、6月5日に不具合を解消して運用を再開したのですが、利用者が申請作業中に特定の画面でブラウザの「戻る」ボタンをクリックすると、ある会社の申請した情報が見られるようになってしまうというバグが発覚しました。見られるようになっていたのはその会社の役員の氏名、役職、性別、生年月日、労働者の氏名、休業日数・休業手当額、タイムカード(出退勤や休業の状況)、給与明細、事業者の銀行口座の情報です。

公式サイトによると、原因は「前回の不具合を踏まえて大量の申請が同時に行われること等を想定したテストを繰り返し行っていたが、ユーザーの様々な動作を想定したテストが不十分だった。」とのことです。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11759.html

この問題を取り上げて、日本はIT後進国だ!という論調もありますが、本当にそうなのでしょうかね。海外の公的なシステムでどれくらい不具合って発生しているか調べたことあるのでしょうか。今回の件については、謝って素早く修正しているので結構普通の対応だと思うのですが。

 

国外、国内を問わず、致命的なセキュリティ不具合が発覚して、さっさとサービス停止したりしている企業は結構ありますよね。ソフトウェアや情報システムにバグが多いから後進国という定義はできないと思います。

 

それで日本がIT先進国なのかといえば絶対に違います。政府、企業のITリテラシが低い、しかも、自分が詳しくないから詳しい人に任せようという気がない、というのは事実だと思います。変化を嫌がる人が想像以上に多いのでしょうね。

 

コラム一覧へ