RFP作成のメリット

ご存じの通り、現代の企業経営は情報システムなしでは成り立たないといっても過言ではない状況です。しかし、導入したのはよいが、いざ運用を始めてみたら全く使えない情報システムだったという例は非常に多いのではないでしょうか。情報システムを経営に役立つものとするためには、上流工程のあり方が重要となります。そして、上流工程を質の高いものとするためには、適切なRFPを作成しなければなりません。

RFPとは、「Request For Proposal」の略で、情報システムの導入にあたり発注先候補のシステムベンダに具体的な提案を依頼するための書類のことです。RFPを作成することには、内部的にも対外的にも多くのメリットがあります。

情報システムを導入するのに当たっては、なぜRFPを作成する必要があるのでしょうか。RFPを作成するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

導入する情報システムが、”使えない情報システム”となるのを防ぎ、会社の利益に寄与する情報システムを作成する可能性を向上するというのがメリットです。

 

どうして、このメリットが発生するのか、4つの要素から説明します。

(1)検討している情報システム導入の趣旨が明確となる

RFPでは、情報システムで何をしたいのか、なぜ必要なのか、いつまでに必要なのか、どれくらいの予算を考えているのかを明らかにします。別の言い方をすると、RFP作成は、情報システム導入の概要(目的と背景、課題など)を明確に定義することから始まるといえます。これらが、明確になっていない、あるいは適切でないと、実際に情報システムの開発が始まってから方向性を見失い、結局何のためのシステムか分からなくなる可能性があります。

社内外で情報システムの趣旨を共有することが重要で、それを実現する第一歩がRFP作成となります。

 

(2)システムベンダとの齟齬が発生しにくくなる

情報システムのように案件ごとに内容の異なるものを作成する場合は、提供するベンダ側も、提案内容が見当違いではないかと半信半疑になることが多く、提案を受け取るユーザ側も適切な内容の提案なのか判断がつきにくいというのは当然の事実です。RFPの中で情報システムに求めること(要求事項)をあらかじめ明確にしておくことによって、ベンダ側がそれにそった提案をすることが可能となります。

 

(3)適切なコストで情報システム構築が可能となる

情報システムの要求事項がはっきりしていないと、提案する側は、保険を掛ける意味合いで予想される稼働よりも多くの稼働を見積もることになります。可能な限り要求事項を明確にしておくことで、適正価格の見積りを得られる可能性が高くなります。

 

(4)情報システムに対する社内のコミットを得やすい

RFPを作成するには、実際にシステムを利用するユーザやユーザ部門の責任者はもちろん、経営層ともコミュニケーションをとることが必要となります。ベンダから見積りをとる前にコミュニケーションをとることによって、システム完成後に利用部門から「業務を知らないやつが勝手にシステムを作った!」「使えないシステムばかり作りやがって!」という声が上がることを避けることができます。また、ベンダへの発注を稟議するさいに、経営層から「俺はこんな話は聞いていない」と否決されてしまうことも避ける効果があります。

 

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