あと数年でなくなるNTTのサービス

すごく大きな社会インフラの改変なのにあまり知られていないNTTの全電話IP化計画。

 

PSTN(今の普通の電話網のこと。)を廃止して、日本中の電話網を光回線に乗せたIP電話にすることはNTT西もNTT東もだいぶ前に発表しています。2020年から2025年の間にPSTNを段階的にIP網にしていく計画です。

 

IP網とPSTNを両方運用するのは色々とキツイということのようです。ただし、一般の加入電話は今のままの電話で使えるので家庭ではあわてる必要がありません。ひかり電話を使っている場合もすでにIP化されているので今のまま使えます。

 

ただし、いろいろなサービスが廃止されますので、その報道を利用して詐欺が流行るのが心配されます。「お宅の今の電話機が使えなくなります。ニュースでやっていたの見たでしょ。でもこの新し電話機を買えば大丈夫ですよ。取り付け工事もセットで10万円です。お得でしょ。新しい電話機の在庫は少なくなっているから急いで。」なんていう訪問販売です。

 

それはさておき、2025年前後までに廃止されるサービスには、INSネット(ISDN)、ピンク電話(昔よく喫茶店においてあった公衆電話)、ダイヤルQ2(なつかしい)、コレクトコールなどがあります。

この中で最も影響が大きいと考えられるのは断然INSネット(ISDN)です。ISDNという規格でNTTが提供しているサービスがINSネットという名称なのですが、ややこしいのでISDNと呼びます。企業ではいまだに使っているケースも多く、全国で400万回線以上が契約されているようです。

 ISDNの代わりに、光回線を宅内の終端装置で変換して今のISDNと同じインタフェースを提供するサービスも開始されるようです。

これは、既存のISDNを接続している機器(電話とかルータとかPCとか)をそのまま使えるので便利なようですが、通信速度はISDNと同じ64Kbpsのままなので、旧世紀の遺物のような感じになってしまいます。

やはり、2025年までに順次光回線に切り替えていくのが良いと思います。その間に機器のリプレースはする機会があるでしょうし。従量課金であるISDNは、バックアップ用の回線として使われているケースが多いですが、光回線でも安価なサービスがあるので料金的にはそれほど高くならないと思います。

 

光回線は台風や地震などで電柱が倒れたりしたときに、ISDNより復旧するのに時間がかかるということがあります。ISDNはメタル回線なので光回線より敷設工事が楽なんですね。

東日本大震災のときも、メタル回線を使うサービスが先に復旧したようです。私が実体験したなかでも、浜松市天竜区の長野寄りの地域で台風による土砂崩れで電柱が倒れたとき、ISDNは数日で復旧したのに、光回線は何か月も復旧しなかったことがありました。その点だけはどうなっていくのか心配ですね。

 

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